博士になります

今日、審査会があって、無事合格しました。めでたい。これで晴れてハカセになれるわけです。随分時間がかかったなあ、とか、2年ぶりの口頭発表は緊張したなあ、とか、思いながら。
3年前にも審査会をして、論文が通ったらそれでいいよと一応合格をもらっていたのですが、論文が出ず、そのままハカセ取りは流れてしまいました。あの時は、目の前にあるのに取れないハカセが欲しくて欲しくて、しょうがなかった気がします。今日の審査会のためには、2年のブランクを埋めるべく、結構準備もしたし練習もして、きっとこれが終わったら肩の荷がすっごく下りるんだろうとか開放感!を味わえるんだろうとか思いながらやってきました。本番は、まああんなもんやろって感じの出来でした。無事終わって、嬉しくて、開放感を味わったのは、30分もなかったかもしれない。すぐに、これはなんていう感情かよく分からないけれど、予想していたのとは全然違う思いが湧き出してきて、それを止めることが出来ません。冬じゃなかったら、夏だったらこんな気持ちにならなかったのかもしれない。
私は研究者という仕事が好きです。すごいハードな世界だけど好きです。だから、いいかげんにやっていける訳がないし私はもうあそこへは戻れないって分かっています。ハカセを取る準備をしている間は、まだ自分は研究者のひとりとしてやるべきことがあって、それに忙しくて気づかなかった。これが終わったら、研究に私を留めておく明確な理由がなくなることに。最後の仕事だったんです。ひとりの研究者として。それが終わってしまった。発表のための周到な準備も、なにもかも、一生懸命やってきたのは、終わりのための準備だったんだなあ、って気づいてしまいました。よくやったと思います。充実感はあります。でも、寂しいです。人が死ぬ前に「私はやりたいことをやったから悔いはないよ」と言うのをテレビや小説で見たことはあったけど、ホントにそんなこと思うのかなと全く理解できませんでした。私は死ぬのは怖いし大嫌いだしその前に覚悟なんてできるわけないだろうし。今日は、ちょっと分かってしまったかもしれません。