地上風韻

umegasane2010-09-09

日本画教室のあとは、だいたい先生と一緒に駅のホームまでおしゃべりしながら帰ります。そこでは、教室では話せない深〜い話もゆっくりできます。先生の昔の話も聞けます。私にとって、短いけれど、とても楽しいひとときです。
この間は山本丘人の話を聞きました。
私が今描いている絵の参考になるだろうから見ておいで、と山本丘人の展覧会を勧められたのは6月。浪と花、星空の牡丹、色々良い絵はあったけれど、私にはどの絵もちょっとロマンチックすぎるというかセンチメンタルな感じで、こういうのもありなのかふうん、ぐらいにしか見れませんでした。
先生は山本丘人の息子さんとお友達だとか話された後、ちょっとためらいながら、丘人の絵について「どの絵にも母への思慕が流れてるんですよ」と教えてくれました。瞬間、「地上風韻」の絵を思い出し、その絵に込められた思いを想像して涙が出そうになりました。あの寂しげな後ろ姿、切なさ、明るい画面の後ろの暗い色、あれはそういうことだったのか、、、と。同時に、そんな事も分からずにただロマンチックでセンチメンタルな絵と片付けてしまっていた自分の浅さを激しく反省しました。見ている「つもり」だけで、何も見えていないじゃないか。この目は何を見ていたのか。
色々考えさせられました。